2026年の基準地価 東京23区の住宅地は8.7%上昇、郊外は「沿線」で明暗
国土交通省は本日(9月15日)、令和8年の都道府県地価調査、いわゆる「基準地価」を公表しました。7月1日時点の土地の価格を各都道府県が調べたもので、1月1日時点の公示地価とあわせ、年に2回の地価の定点観測になっています。数字を整理したうえで、買う・売る・貸すそれぞれの立場から、当社の見方をお伝えします。
■ 全国:5年連続の上昇
全国平均は、全用途で1.5%、住宅地で1.0%、商業地で2.9%の上昇でした。いずれも5年連続のプラスです。商業地は前年(2.8%)より少し上昇幅が広がり、全用途と住宅地は前年と同じ上昇幅でした。
地域別に見ると、東京圏と大阪圏は上昇幅が広がり、名古屋圏は縮みました。大阪圏は住宅地2.3%、商業地6.8%の上昇です。札幌・仙台・広島・福岡の地方四市は、住宅地2.9%、商業地6.0%と高い伸びを保ちつつも、上昇幅は縮小しています。それ以外の地方は、住宅地が横ばい(0.0%)でした。「全国的に上がっている」というより、「強いところはより強く」という構図がはっきりしてきています。
国交省は上昇の背景として、主要都市での店舗・ホテル需要の堅調さ、オフィスの空室率低下と賃料上昇、訪日客が増えた観光地の需要、再開発の進展、マンション用地との競合などを挙げています。
■ 首都圏:都心はさらに上昇
東京圏の住宅地は4.0%、商業地は8.9%の上昇。東京23区の住宅地は8.7%上がり、区別では港区が16.3%、台東区が15.6%と大きく伸びました。台東区は浅草周辺の観光需要の強さが背景にあるとみられます。
■ 郊外は一律ではない
今回、興味深かったのは郊外の動きです。つくばエクスプレス沿線の千葉県流山市は住宅地が13.3%、JR常磐線が通る松戸市も8.9%と、いずれも前年を上回る伸びでした。一方、埼玉県東部では春日部市が0.1%まで伸びが鈍り、久喜市は横ばい、加須市は下落しています。
都心の住宅価格が上がりすぎた結果、手の届く郊外に需要が広がっているのは確かです。ただ、どこまでも広がっているわけではありません。都心へ乗り換えなしで出られるか、駅からどのくらいか、駅前に生活の利便施設が集まっているか、といった条件で、はっきりと差がつき始めています。
■ 当社の見方① 買う方へ:「どこでも上がる」時期は終わりつつある
5年続いた上昇で、「とりあえず買っておけば上がる」と考えがちですが、今回の結果を見る限り、その前提は崩れつつあると当社では考えています。同じ東京圏でも、上昇が加速する場所と、横ばいや下落に転じる場所が並んでいます。
これから購入される方は、価格の安さだけで郊外を選ぶのではなく、通勤・通学の動線、駅からの距離、周辺の再開発や商業施設の計画などを確かめたうえで選ぶことが、これまで以上に大事になります。将来売る・貸すときに買い手や借り手がつきやすい場所かどうか、という視点も欠かせません。
■ 当社の見方② 売る方へ:「上がっているうち」の検討を
地価が上がっている局面は、売却を考えている方にとっては有利な環境です。特に都心や人気沿線の物件は、買いたい方が多い状況が続いています。
一方で、日銀の利上げなどで住宅ローンの金利は上がり始めており、買い手の予算は今後じわじわと厳しくなっていく可能性があります。「もう少し上がってから」と待つのも一つの判断ですが、すぐに売るかどうかは別として、いまの価格水準を一度査定で確認しておくことをおすすめします。
■ 当社の見方③ 貸す方へ:利回りと固定資産税に注意
地価の上昇は物件価格にはわりと早く反映されますが、家賃はそれほど速くは上がりません。たとえば価格6,000万円、家賃月20万円の物件の表面利回りは4.0%ですが、家賃が同じまま価格だけ1割上がると、利回りは約3.6%に下がります。地価が大きく上がったエリアほど、これから買う投資物件の利回りは下がりやすいということです。
すでに物件をお持ちの方は、固定資産税にも目を向けておきたいところです。土地の固定資産税評価額は公示地価の7割程度を目安に決められ、3年ごとに見直されます。次の評価替えは2027年度です。地価の上昇がそのまま税額に跳ね返らないよう「負担調整措置」がありますが、国交省はこの措置の延長も今回の税制改正で要望しています。家賃の見直しを含め、保有コストと収入のバランスを確認しておくと安心です。
■ まとめ
今回の基準地価は、首都圏の地価の強さを改めて示した一方で、郊外の「選別」がはっきり始まったことも示しました。買う・売る・貸す、どの立場でも、エリアごとの細かな違いを見ることがますます大切になっています。具体的な物件やエリアの動きについては、お気軽にご相談ください。
出典:
・国土交通省「令和8年都道府県地価調査の概要」(2026年9月15日公表)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/002021832.pdf
・ダイヤモンド不動産研究所「2026年都道府県地価調査(基準地価)発表!」(2026年9月)
https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1113324
・国土交通省「令和9年度国土交通省税制改正要望事項」(2026年8月)
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010944.html
※本記事は上記の公表資料・報道をもとに当社が独自にまとめたもので、数値は各出典によります。文中の見解は当社の考えであり、特定の物件や投資をおすすめするもの(投資助言)ではありません。
■ 全国:5年連続の上昇
全国平均は、全用途で1.5%、住宅地で1.0%、商業地で2.9%の上昇でした。いずれも5年連続のプラスです。商業地は前年(2.8%)より少し上昇幅が広がり、全用途と住宅地は前年と同じ上昇幅でした。
地域別に見ると、東京圏と大阪圏は上昇幅が広がり、名古屋圏は縮みました。大阪圏は住宅地2.3%、商業地6.8%の上昇です。札幌・仙台・広島・福岡の地方四市は、住宅地2.9%、商業地6.0%と高い伸びを保ちつつも、上昇幅は縮小しています。それ以外の地方は、住宅地が横ばい(0.0%)でした。「全国的に上がっている」というより、「強いところはより強く」という構図がはっきりしてきています。
国交省は上昇の背景として、主要都市での店舗・ホテル需要の堅調さ、オフィスの空室率低下と賃料上昇、訪日客が増えた観光地の需要、再開発の進展、マンション用地との競合などを挙げています。
■ 首都圏:都心はさらに上昇
東京圏の住宅地は4.0%、商業地は8.9%の上昇。東京23区の住宅地は8.7%上がり、区別では港区が16.3%、台東区が15.6%と大きく伸びました。台東区は浅草周辺の観光需要の強さが背景にあるとみられます。
■ 郊外は一律ではない
今回、興味深かったのは郊外の動きです。つくばエクスプレス沿線の千葉県流山市は住宅地が13.3%、JR常磐線が通る松戸市も8.9%と、いずれも前年を上回る伸びでした。一方、埼玉県東部では春日部市が0.1%まで伸びが鈍り、久喜市は横ばい、加須市は下落しています。
都心の住宅価格が上がりすぎた結果、手の届く郊外に需要が広がっているのは確かです。ただ、どこまでも広がっているわけではありません。都心へ乗り換えなしで出られるか、駅からどのくらいか、駅前に生活の利便施設が集まっているか、といった条件で、はっきりと差がつき始めています。
■ 当社の見方① 買う方へ:「どこでも上がる」時期は終わりつつある
5年続いた上昇で、「とりあえず買っておけば上がる」と考えがちですが、今回の結果を見る限り、その前提は崩れつつあると当社では考えています。同じ東京圏でも、上昇が加速する場所と、横ばいや下落に転じる場所が並んでいます。
これから購入される方は、価格の安さだけで郊外を選ぶのではなく、通勤・通学の動線、駅からの距離、周辺の再開発や商業施設の計画などを確かめたうえで選ぶことが、これまで以上に大事になります。将来売る・貸すときに買い手や借り手がつきやすい場所かどうか、という視点も欠かせません。
■ 当社の見方② 売る方へ:「上がっているうち」の検討を
地価が上がっている局面は、売却を考えている方にとっては有利な環境です。特に都心や人気沿線の物件は、買いたい方が多い状況が続いています。
一方で、日銀の利上げなどで住宅ローンの金利は上がり始めており、買い手の予算は今後じわじわと厳しくなっていく可能性があります。「もう少し上がってから」と待つのも一つの判断ですが、すぐに売るかどうかは別として、いまの価格水準を一度査定で確認しておくことをおすすめします。
■ 当社の見方③ 貸す方へ:利回りと固定資産税に注意
地価の上昇は物件価格にはわりと早く反映されますが、家賃はそれほど速くは上がりません。たとえば価格6,000万円、家賃月20万円の物件の表面利回りは4.0%ですが、家賃が同じまま価格だけ1割上がると、利回りは約3.6%に下がります。地価が大きく上がったエリアほど、これから買う投資物件の利回りは下がりやすいということです。
すでに物件をお持ちの方は、固定資産税にも目を向けておきたいところです。土地の固定資産税評価額は公示地価の7割程度を目安に決められ、3年ごとに見直されます。次の評価替えは2027年度です。地価の上昇がそのまま税額に跳ね返らないよう「負担調整措置」がありますが、国交省はこの措置の延長も今回の税制改正で要望しています。家賃の見直しを含め、保有コストと収入のバランスを確認しておくと安心です。
■ まとめ
今回の基準地価は、首都圏の地価の強さを改めて示した一方で、郊外の「選別」がはっきり始まったことも示しました。買う・売る・貸す、どの立場でも、エリアごとの細かな違いを見ることがますます大切になっています。具体的な物件やエリアの動きについては、お気軽にご相談ください。
出典:
・国土交通省「令和8年都道府県地価調査の概要」(2026年9月15日公表)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/002021832.pdf
・ダイヤモンド不動産研究所「2026年都道府県地価調査(基準地価)発表!」(2026年9月)
https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1113324
・国土交通省「令和9年度国土交通省税制改正要望事項」(2026年8月)
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010944.html
※本記事は上記の公表資料・報道をもとに当社が独自にまとめたもので、数値は各出典によります。文中の見解は当社の考えであり、特定の物件や投資をおすすめするもの(投資助言)ではありません。