国交省の税制改正要望 今年は「新築マンションの短期転売」対策に注目
国土交通省は8月28日、令和9年度(2027年度)の税制改正要望を公表しました。毎年この時期に各省庁が出す「要望」で、実際にどうなるかは年末に与党がまとめる税制改正大綱で決まります。要望がそのまま通るとは限りませんが、国がいま不動産のどこに問題意識を持っているのかがよくわかる資料です。住宅・不動産に関係するところを拾いながら、当社の見方もお伝えします。
■ 新築マンションの「短期売買」に税制で手当て
今年いちばん目を引いたのは、「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」という項目です。都心の大規模マンションを中心に、実際に住む・使うためではない投機的な取引を抑える方策を、税制も含めて検討する、という内容です。
資料には国交省の調査結果も載っています。新築マンションのうち、保存登記から1年以内に転売(移転登記)されたものの割合は、2024年1〜6月で東京23区が9.3%、都心6区では12.2%でした。2023年はそれぞれ5.7%、7.1%でしたから、短い間にかなり増えています。
業界団体の不動産協会も昨年11月、自主的な対策を打ち出しています。購入の申込みができる戸数を制限する、申込みをした本人の名義で契約・引渡し・登記まで行うことを徹底する、売買契約から引渡しまでの間の転売活動を禁止する、といった内容です。
■ 当社の見方:短期転売は「割に合わない」時代へ
具体的な税の仕組みはまだ示されていませんが、民間の自主規制に税制が加われば、新築を買ってすぐに売り、値上がり益を狙うような購入は、これからますます割に合わなくなると当社では見ています。
これは、実際に住むために新築を探している方にとっては悪い話ではありません。抽選の倍率が下がったり、竣工直後の「新古」物件が高値で出回ることが減ったりすれば、実需の方が適正な価格で買いやすくなる可能性があります。
一方、すでに投資目的で新築を購入されている方は、出口(いつ・いくらで売るか)を改めて考えておく必要がありそうです。税制が変わる前に慌てて売る必要はありませんが、保有期間をどうするか、売らずに賃貸に出す場合の利回りはどうか、選択肢を整理しておくことをおすすめします。売却と賃貸のどちらが有利か、査定と家賃の見込みを並べて比べるお手伝いもしています。
■ 中古+リフォームには追い風
短期転売には逆風の一方で、中古住宅の流通ははっきり後押しする方向です。
宅建業者が中古住宅を買い取ってリフォームし、自宅用として売り出す「買取再販」の税の軽減措置については、2年の延長に加えて、床面積の要件を「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩める要望が出ています。実現すれば、都心に多い40㎡台のコンパクトな1LDKなども対象に入ってきます。
このほか、住宅の登記にかかる登録免許税の軽減措置の拡充も要望されています。いまの特例では、所有権の移転登記の税率が本則2%から0.3%に下がっています。建物の評価額が1,000万円なら、本則で20万円かかるところが3万円で済む計算です。
不動産の売買契約書に貼る印紙税の軽減措置も、3年延長が要望されました。たとえば契約金額が5,000万円超1億円以下なら、本来6万円の印紙税が3万円になっています。
親や祖父母から住宅取得のための資金をもらった場合に一定額まで贈与税がかからない措置(現在は質の高い住宅で1,000万円、一般の住宅で500万円まで)についても、必要な見直しを行う方針です。
■ 当社の見方:「中古を買って直す」が主役になっていく
新築の価格が上がり続けるなか、国は「良い中古を長く使う」方向に税制で背中を押しています。当社でも、新築にこだわらず、立地の良い中古マンションを買ってリフォームするという選択は、これからますます合理的になると考えています。
特に40㎡台の住戸は、単身の方やご夫婦の住まいとしても、将来貸すことを考えても、都心では需要の厚い広さです。床面積の要件が緩和されれば、税の面でも選びやすくなります。
ご所有のマンションの売却を考えている方にとっても、買取再販の業者や、リフォーム前提で探している買主が増えることは、売り先の選択肢が広がるという意味でプラスです。
■ 動くのは12月の大綱を見てからでも
今年の要望全体から読み取れるのは、「短期の値上がりを狙う売買には逆風、長く住む・長く持つ取引には追い風」という方向です。
これから中古マンションを買ってリフォームを考えている方や、住宅資金の贈与を検討しているご家族は、12月の税制改正大綱の中身を確認してから動いても遅くはありません。ただ、良い物件は税制を待ってくれないのも事実です。物件探しや資金計画の準備は先に進めておき、大綱が出た時点で最終判断をする、という進め方が現実的だと思います。大綱が出ましたら、このお知らせ欄でも改めてご紹介します。
出典:
・国土交通省「令和9年度国土交通省税制改正要望事項」(2026年8月)
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010944.html
※本記事は上記の公表資料・報道をもとに当社が独自にまとめたもので、数値は各出典によります。文中の見解は当社の考えであり、特定の物件や投資をおすすめするもの(投資助言)ではありません。
■ 新築マンションの「短期売買」に税制で手当て
今年いちばん目を引いたのは、「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」という項目です。都心の大規模マンションを中心に、実際に住む・使うためではない投機的な取引を抑える方策を、税制も含めて検討する、という内容です。
資料には国交省の調査結果も載っています。新築マンションのうち、保存登記から1年以内に転売(移転登記)されたものの割合は、2024年1〜6月で東京23区が9.3%、都心6区では12.2%でした。2023年はそれぞれ5.7%、7.1%でしたから、短い間にかなり増えています。
業界団体の不動産協会も昨年11月、自主的な対策を打ち出しています。購入の申込みができる戸数を制限する、申込みをした本人の名義で契約・引渡し・登記まで行うことを徹底する、売買契約から引渡しまでの間の転売活動を禁止する、といった内容です。
■ 当社の見方:短期転売は「割に合わない」時代へ
具体的な税の仕組みはまだ示されていませんが、民間の自主規制に税制が加われば、新築を買ってすぐに売り、値上がり益を狙うような購入は、これからますます割に合わなくなると当社では見ています。
これは、実際に住むために新築を探している方にとっては悪い話ではありません。抽選の倍率が下がったり、竣工直後の「新古」物件が高値で出回ることが減ったりすれば、実需の方が適正な価格で買いやすくなる可能性があります。
一方、すでに投資目的で新築を購入されている方は、出口(いつ・いくらで売るか)を改めて考えておく必要がありそうです。税制が変わる前に慌てて売る必要はありませんが、保有期間をどうするか、売らずに賃貸に出す場合の利回りはどうか、選択肢を整理しておくことをおすすめします。売却と賃貸のどちらが有利か、査定と家賃の見込みを並べて比べるお手伝いもしています。
■ 中古+リフォームには追い風
短期転売には逆風の一方で、中古住宅の流通ははっきり後押しする方向です。
宅建業者が中古住宅を買い取ってリフォームし、自宅用として売り出す「買取再販」の税の軽減措置については、2年の延長に加えて、床面積の要件を「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩める要望が出ています。実現すれば、都心に多い40㎡台のコンパクトな1LDKなども対象に入ってきます。
このほか、住宅の登記にかかる登録免許税の軽減措置の拡充も要望されています。いまの特例では、所有権の移転登記の税率が本則2%から0.3%に下がっています。建物の評価額が1,000万円なら、本則で20万円かかるところが3万円で済む計算です。
不動産の売買契約書に貼る印紙税の軽減措置も、3年延長が要望されました。たとえば契約金額が5,000万円超1億円以下なら、本来6万円の印紙税が3万円になっています。
親や祖父母から住宅取得のための資金をもらった場合に一定額まで贈与税がかからない措置(現在は質の高い住宅で1,000万円、一般の住宅で500万円まで)についても、必要な見直しを行う方針です。
■ 当社の見方:「中古を買って直す」が主役になっていく
新築の価格が上がり続けるなか、国は「良い中古を長く使う」方向に税制で背中を押しています。当社でも、新築にこだわらず、立地の良い中古マンションを買ってリフォームするという選択は、これからますます合理的になると考えています。
特に40㎡台の住戸は、単身の方やご夫婦の住まいとしても、将来貸すことを考えても、都心では需要の厚い広さです。床面積の要件が緩和されれば、税の面でも選びやすくなります。
ご所有のマンションの売却を考えている方にとっても、買取再販の業者や、リフォーム前提で探している買主が増えることは、売り先の選択肢が広がるという意味でプラスです。
■ 動くのは12月の大綱を見てからでも
今年の要望全体から読み取れるのは、「短期の値上がりを狙う売買には逆風、長く住む・長く持つ取引には追い風」という方向です。
これから中古マンションを買ってリフォームを考えている方や、住宅資金の贈与を検討しているご家族は、12月の税制改正大綱の中身を確認してから動いても遅くはありません。ただ、良い物件は税制を待ってくれないのも事実です。物件探しや資金計画の準備は先に進めておき、大綱が出た時点で最終判断をする、という進め方が現実的だと思います。大綱が出ましたら、このお知らせ欄でも改めてご紹介します。
出典:
・国土交通省「令和9年度国土交通省税制改正要望事項」(2026年8月)
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010944.html
※本記事は上記の公表資料・報道をもとに当社が独自にまとめたもので、数値は各出典によります。文中の見解は当社の考えであり、特定の物件や投資をおすすめするもの(投資助言)ではありません。